小人すごろく２
はまち

「え、えっと……。皆さん、こんにちは。私、坂上（さかがみ）ゆう っていいます。これから、その…。こ、小人すごろく、始めます……っ！」

大きめの鞄から取り出したアクリルケース。その中に入った３８人の小人たちに、震える声でそう告げた。
本当はもっと自己紹介とか、説明したいこととか、あったはずなのに。これから行うことで頭がいっぱいになって、うまく言葉を紡げなかった。
小人たち、やっぱり困惑してる。さっきまで普通の教室だったのに、透明な壁に四方を囲まれて、唯一出られそうな上からは、巨大な私の顔が覗いてるんだもん。そりゃ何が何だか分かんないよね。

「そ、それじゃあ、最初の駒を決めちゃいますね。えっと……ごめんなさい、あなたからにしますね」

すみっこの方で震えていた、大人しそうな女の子。黒いおさげとか、眼鏡とか、まるで私みたい。指でつまみ上げると、泣きながら何か言っていた。やめてとか、助けてとか。

「ご、ごめんね。このすごろくをクリアできたら、助けてあげられるんだけど……。多分最初の駒になったあなたは……」

難しいかも、と言いかけて、口をつぐむ。始める前からそんなことを言ったら、ダメだよね。

「と、とりあえずサイコロ振っちゃうね……あ、３マスだね。それじゃ、３マス分進んでください……」

床に大きく広げた模造紙。その端っこに降ろした小人の少女は、スタート地点から動かない。首を振って、縮こまっている。

「あ、あのぅ……動いて、くれませんか……？」

もう一度、しっかり聞こえるように顔を近づけて言う。それでも、動こうとしない。やっぱり、恐いよね。だって３マス先に書かれているのは――

【駒の小人は尿で満たされたガラス瓶に閉じ込められ、脱落】

――小人の終わりを意味するから。

「くれあちゃんの言った通り、やっぱり”見せしめ”が必要なのかな……」

同じテーブルゲーム部に所属する友人のアドバイスを思い出しながら、ベッドの陰に置いていたガラス瓶を取り出す。いちごジャムと書かれたラベルだけど、現在中に入っているのは赤いものの代わりに、茶色いもの。それを小人たちがいるアクリルケースの中に置いて、固い蓋を開ける。
同時に、非常に強い臭気が部屋に解放された。近くで開けられた小人はたまらず鼻をつまんでガラス瓶から離れる。

「うぅ……そ、その中に入ってるのは、今日の朝、私が出したものです。今日一日学校に行ってる間、熟成されて臭いも強くなってますね……」

そう言いながら、スタート地点にうずくまっていた小人をつまみなおし、アクリルケースへと運ぶ。正確には、アクリルケース内で口を開けている、激臭のガラス瓶の中へ。

「えっと……すごろくのルールに従えない駒は、私の好きにして良いってことにしますね。罰ゲームマスの方が良かったって思うぐらいの方が、見せしめになるから……」

さっきまで弱々しい感じで拒否していたおとなしい小人とは思えないぐらい、激しく、大きな声で喚きながら暴れている。そりゃ嫌だよね、こんな臭い所に閉じ込められるなんて。あんな体勢でするの大変だったけど、用意しておいて良かった……。
どちゃっ、と瓶の中に放り込んで、蓋を閉める。内側からドンドンとガラス壁を叩きながら、茶色く汚れた小人がまだ何か叫んでる。

「密閉したから、あんまり叫ばない方が良いですよ……。せっかく外の空気も一緒に少し入ったのに、すぐ無くなっちゃうから……」

そう言いながら、次の駒の男子生徒をつまんで、スタート地点に降ろす。再度振ったサイコロは、５を示していた。見せしめの効果もあり、素直に小人が歩いた先にあったマスは……

【駒の小人は糸で縛られた状態で丸呑みされ、脱落】

「やった、丸呑みマス……！」

思わず喜びの声色を出しながら、逃げようとする小人を捕まえ、用意していた糸で腰の辺りを両手首ごと縛る。バタつく足も、足首で縛り、腕も足も使えなくする。

「あ、そうだ……実は先に呑んでるものがあるんです。罰ゲームをもっと罰ゲームっぽくする為のものなんですが……あ、でも胃の中に落ちちゃうまでのお楽しみってことで、黙っておこうかな。それじゃ、早速、いただきます……♡」

手足が縛られ、体をよじりながら命乞いをしている小人を、一口で頬張り……。

ごっきゅんっ……♡

そのまま丸呑みしてしまった。小さな身体が。小さな命が。今、私の喉を通り、食道を下っていく。
この感覚だ。人見知りで臆病な弱い私が、他人に対して強者でいられる瞬間。捕食者と被食者という絶対的な支配関係を感じられるこの感覚が、私は大好き。

「そろそろ胃の中に着いたかな……？　それじゃ答えを言っちゃいます。これ、強く発光する液体を入れたサプリメントサイズのカプセル。真っ暗な胃の中を照らしてくれるんです」

アクリルケース内の小人に見せびらかすように、袋からカプセルを取り出し、そして口に含んで飲み下す。

「あ、あと、ついさっきラーメンを食べたんです。ニンニクをたっぷり入れて。そういうの、普段はあまり食べないんですが、胃の中が臭いほうが、罰ゲームになりますよね。今頃カプセルに照らされて、ぐちゃぐちゃに胃液と混ざり合ったラーメンを見られてるのかな……あ、でも手足が縛られてるから、這い上がることも出来ずに胃酸に溺れてるのかも……♡」

お腹のあたりを手で優しく撫でながらつぶやくと、アクリルケース内に溜まった恐怖の感情がより煮え立つのを感じる。やっと私の思い描いたすごろくゲームっぽくなってきた。

「それじゃ、次はあなたが駒になってくださいね。サイコロを転がして……はい、６マス進んでください。そのマスは……」

【駒の小人はタンポンの替えに使われて脱落】

「あっ、また脱落マスですね……そういえば、４０人いるはずの生徒が、３８人しかいなかったことは、皆さん気付いていましたか？　ゲームが始まる前から脱落していた人が、実は二人いるんです。一人は、今出しますね……♡」

黒の制服スカートを捲り上げ、内側のショーツに手を掛ける。ゆっくりと、腰から太ももへ。膝を過ぎ、足首で少し引っ掛けつつ、白いショーツを脱いだ。

「うぅ、小人相手でもやっぱり恥ずかしいなぁ……。毛の処理とか恐くて出来ないから、くれあちゃんみたいに綺麗な見た目じゃなくてごめんね……」

小学生の頃に生えはじめて以来、自然のまますくすくと育ち、今や鬱蒼と茂ったジャングルのような陰毛。同じ年代の他の女の子よりも濃いもじゃもじゃのすぐ下。縦筋の間から、小人の足が少しだけ飛び出ていた。
その足を指でつまみ、ズルズルと引っ張り出した女子生徒の死体を、アクリルケースの中にドチャッと落とす。

「その子、元々白いシャツを着ていたはずなんですけど……私、結構多い方だから、赤黒いシャツに変わってますね……。えっと、次のあなたも、しっかり血を吸って下さいね……♡」

そう言いながら、駒の小人を掴み、必死で暴れるのを無視して膣口にあてがう。血に塗れた洞穴に、頭から。

「んんぅ……♡　そんなに暴れないで……っ♡　あなたはディルドじゃなくて、タンポンの代わりに使うんだからっ……♡」

小人の必死な抵抗を、膣壁がその弾力で吸収しながら感じ取る。押し寄せる快感はまるで電動ディルドを使っているみたいだけど、今はタンポン代わり。もうしばらくすれば、呼吸困難か経血に溺れておとなしくなるかな。

「それじゃ、このまま次に行きますね……っ♡」

次の駒をアクリルケースから取り出し、サイコロを振る。出た目が示す、２マス先に記されていたのは……。

【当たり！　駒の小人はクリアまでジュース飲み放題。今後は小人を１人丸呑みする代わりに、サイコロの目に加えボーナスで６マス分進める】

「あ、当たりです……！　あなたはもう駒になる心配が無いですし、クリア出来たら解放してあげられますよ。特等席でジュースを飲みながら待っててくださいね……」

そして小人をつまみ上げ、ジュースの所まで運んであげる。さっきまで私が飲んでいた、炭酸ぶどうジュースと氷が入ったグラスの上に。
小人の安堵と喜びの表情が、絶望に変わる。構わず手を放し、ポチャンとジュースの中に落とす。氷でしっかり冷えた、小人にとっては飲み放題なジュースの海に。

「あっ、私もそのジュース飲むので、巻き込まれないように頑張ってくださいね。もし間違って呑んじゃったら、もう助けられないので……♡」

そう言って、小人入りジュースを飲む。あえて、口を少し大きめに開けながら。喉を、ジュースだけじゃない何かが通り抜けていった。
